【知っておきたい不動産知識】「売買契約を結ぶ~売買契約のチェックポイント① Vol.26」

By miki, 2021年7月5日

不動産の売買契約は、高額な資産を対象とした取引ですので、一般的には、契約書を作成して取り交わします。
また、宅地建物取引業法でも、不動産会社(宅地建物取引業者)に対し、契約が成立したら遅滞なく契約内容を記載した書面を、宅地建物取引士に記名押印させた上で交付することを義務づけています。

1)売買契約書の一般的な項目とポイント

①売買物件の表示
購入予定物件の表示に誤りがないかを確認します。
一般的には、登記記録(登記簿)に基づいて契約書に表示されます。
売買対象となる物件が明確であることが、売買契約の大前提です。

② 売買代金、手付金等の額、支払日
売買代金や手付金等の金額と支払日をしっかりと確認します。
期日までに支払えない場合は、契約違反となる場合もありますので注意しま
しょう。
また、手付金については、その取り扱いをしっかりと確認します。
手付金がどのような手付け(解約手付、証約手付、違約手付)であるのか、金額は適当か(売買代金の何割程度か)などを確認します。
手付けが解約手付であれば、いつまで手付解除が可能であるかについても確認しましょう。
なお、売主の信用力に不安がある場合は、高額な手付金等の支払いには十分に注意する必要があります。

③土地の実測及び土地代金の精算
土地の面積は、登記記録(登記簿)に表示された面積と実際の面積が違うことがあります。
したがって、売主が引き渡しまでの間に土地の実測を行うことも多いです。
実測の結果、登記記録(登記簿)の面積と実測した面積が違う場合は、その面積の差に応じて、売買代金を精算します。
(実測をするのみであえて精算しないこともあります。)一般的に、売買代金の精算は、当初の売買代金と当初の売買面積(登記記録(登記簿)上の面積)に基づく1㎡当たりの単価を用いて行われます。

④所有権の移転と引き渡し
所有権の移転と引き渡しの時期を確認します。
引っ越しの予定などを踏まえて、問題ないか判断します。
所有権移転と引き渡しは代金の支払いと引き換えに行われますが、不動産取引の実務では、代金支払いの場で、所有権移転登記に必要な書類や鍵などが買主に引き渡されることで完了することが多いです。

⑤付帯設備等の引き継ぎ
特に、中古住宅の場合は、室内の照明やエアコンなどの設備、敷地内の庭木や庭石などの引き継ぎについて明確にしておく必要があります。
このような付帯設備等の引き継ぎをめぐるトラブルは意外と多く発生しますので、契約前に、何を引き継いで、何が撤去されるのかを売主との間で十分に調整する必要があります。
また、引き継ぐ設備等が故障していないかなど、その状態も事前に確認しましょう。
契約に当たっては、付帯設備等の一覧表(付帯設備表)を用いて一つ一つ確認することが多いようです。(このとき用いる一覧表は「物件告知書」「物件状況確認書」などといわれています。)

⑥負担の消除
購入予定物件を完全な所有権で取得できるかを確認します。
例えば、抵当権や賃借権など、所有権の完全な行使を阻害するような権利は、売主の責任によって除かれた状態で引き渡されます。
このような権利が除かれないまま引き渡しを受けると、購入後に予定通り利用できない場合がありますので注意が必要です。
なお、投資用物件の売買では、テナントが入居していることが多く、その場合はテナントとの賃貸借契約に限って、買主に引き継がれます。
この場合は引き継ぐ権利と引き継がない権利を明確にする必要があります。