【知っておきたい不動産知識】「不動産の引き渡しを受ける~入居後の物件の欠陥をめぐるトラブル対応② Vol.33」

By miki, 2021年7月25日

【アフターサービスについて理解する】

新築住宅では、契約不適合責任とは別に、売主が一定の不具合を無償で補修するアフターサービスを任意で実施している場合があります。
アフターサービスの対象となる不具合の種類やサービスの期間などについては、会社ごとに基準が設けられています。
たとえば、基本構造部分にかかわる雨漏りや漏水、構造強度に影響する亀裂や破損などは品確法と同じ10年、壁の破損や設備の作動不良などは2~5年の期間を設けることが多いようです。

最近では、アフターサービス期間が10年を超える新築住宅もありますので、アフターサービス制度の有無やその内容について、しっかりと確認しておきましょう。

※中古住宅の場合でも、宅地建物取引業者である不動産会社が売主の場合は、一定の不具合を補修するなど独自のアフターサービスを実施している場合があります。

【契約不適合責任とアフターサービスの違い】

契約不適合責任は法律で定められた責任であり、アフターサービスはあくまでも消費者サービスの一環として、不動産会社などが自主的に実施しているものです。
いずれも消費者保護を目的としている点では共通していますが、責任の対象や期間などが違っている点に注意が必要です。

契約不適合責任の対象になるのは、「取引時における物件の契約との不適合」に限られ、一般的に、売主が責任を負う期間は契約で定められています。
また、品確法では新築住宅について、構造耐力上主要な部分などに瑕疵があった場合、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を定めています。

これらに対して、アフターサービスの対象は「契約で定める一定の欠陥」であり、契約との不適合に限りません。
また、品確法の構造耐力上主要な部分などに限らず、建具や設備なども対象になっていることもあります。
アフターサービスの対象と期間はそれぞれの契約によって定められますので、その内容をしっかりと把握しておきましょう。

【契約不適合責任に関する保険制度】

住宅瑕疵担保責任保険とは、新築住宅の売主である不動産会社などが、住宅瑕疵担保責任保険法人との間で保険契約を締結することで、その住宅に瑕疵が判明した場合に、その補修費用などを保険金によりてん補する制度です。
売主が倒産していて補修が行えない場合などは、買主が直接、住宅瑕疵担保責任保険法人に瑕疵の補修等にかかる費用(保険金)を請求することができます。

【中古住宅で利用できる住宅瑕疵担保責任保険】

中古住宅の場合に利用できる瑕疵担保責任保険として「既存住宅売買瑕疵保険」があります。
この保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度で、住宅の基本的な性能について、専門の建築士による検査に合格することが条件です。
売主である不動産会社または個人が、この保険に加入している場合は、売買された中古住宅に欠陥が見つかった場合でも、補修費用などの保険金が不動産会社や検査機関などの事業者(事業者が倒産等の場合は買い主)に支払われます。
(洪水、台風、地震、噴火、津波、火災、白アリなどの虫食い、自然消耗、住宅の不適切な使用によるものは、保険金支払いの対象外です。)。