【知っておきたい不動産知識】「不動産の引き渡しを受ける~入居後の物件の欠陥をめぐるトラブル対応① Vol.32」

By miki, 2021年7月23日

【「契約不適合責任」の意味と期間 】

購入した住まいに、雨漏りや建物の白アリによる腐食などのような物件の欠陥があった場合のことを、従来は「瑕疵」(かし)と言い、それについての売主の責任のことを「瑕疵担保責任」と言っていました。
しかし、この責任については、令和2年4月1日に施行された民法の改正により、その責任の名称だけでなく内容も大きく変わりました。

改正民法は、まず売主には、売買の対象物件について「種類、品質、数量」に関して、契約の内容に適合した物件を引き渡す義務があるという前提で、もしそれらについて契約の内容に適合しない物件を引渡した場合は、売主の債務不履行責任になるということです。
例えば、雨漏りや、白アリなどによる腐食のある建物を引渡した場合は、品質に関して契約の内容に適合した目的物を引き渡す義務の債務不履行だということです。

契約の対象物(目的物)に、このような不適合があったときには、買主は、その補修の請求ができ、補修請求をしても売主がやらないとき、または補修自体が無理なときなどには、売買代金の減額請求ができます。
また、一般的な債務不履行の原則により、損害賠償請求もできますし、契約の解除もできます。
ただし、損害賠償は、売主に何らかの責任がない場合はできません。
また解除は、その不適合が「軽微」なときにはできないことになっています。

そして、売主がこの責任を負わなければならない期間について、民法は、契約不適合責任を売主が長期間負うのは酷と考え、また売買から生ずるこのような紛争をできるだけ早期に解決することが適切として、買主はその不適合を知った時から1年以内に売主に通知しなければならないこととしています。

1)新築住宅の瑕疵担保責任に関する法制度

新築住宅の場合は、以下のような法律で買主を保護しています。
売主が倒産していたり、売主に損害金を支払う資力がない場合でも、保険金や保証金の還付により必要な費用が支払われます。

【「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下「品確法」】

品確法により、平成12年4月1日以降に新築住宅の引き渡しを行った売主等は、住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、土台、柱、斜め材など)、雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、開口部の戸など)について、引き渡しから10年間、瑕疵担保責任を負うことが義務づけられています。
したがって、これらの欠陥については、引き渡しから10年間は、物件の修補請求・損害賠償請求・契約解除(契約解除は売買契約でかつ重大な瑕疵に限定)を求めることが可能です。
※同法は、民法改正後も、契約不適合のことを「瑕疵」と呼ぶことにしています。

【「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(以下「住宅瑕疵担保履行法」】

住宅瑕疵担保履行法により、平成21年10月1日以降に引き渡される新築住宅の売主等には、確実に瑕疵担保責任を負うことができるように「保険への加入」または「保証金の供託」が義務づけられています。
これは、売主が、倒産などによって瑕疵担保責任を負うことができなくなった場合でも、保険やあらかじめ供託された保証金により、消費者に対する瑕疵担保責任を履行するという制度です。
※同法も、民法改正後も、契約不適合のことを「瑕疵」と呼ぶことにしています。

2)中古住宅の留意事項

中古住宅の場合は、新築住宅のような制度はありませんので、売主の瑕疵担保責任については、契約に基づく対応がベースとなります。
宅地建物取引業者である不動産会社が売主の場合は、少なくとも一定期間は契約不適合責任を負いますが、不動産会社が倒産などをした場合、修補等を求めることができない可能性が高くなります。
また、売主が個人の場合は、契約不適合責任を負う期間を短くする契約が多く見受けられます。
したがって、中古物件の場合は、契約前に物件を十分に確認して、欠陥をあらかじめ把握することが重要です。このため、最近は、宅地建物取引業法の改正の影響もあり、インスペクション(建物状況調査)を依頼して(「5-5現地見学時のチェックポイント」ホームインスペクション参照)、建物の状況を事前に確認するケースが増えています。